クラウド時代の情報共有の基盤として注目を集める SharePoint。
でも、具体的に何ができて、どんなメリットがあるのか?導入前に気を付けるべきポイントは?などと疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では SharePoint の基本から、導入によるメリット・デメリット、主要機能、成功させるためのポイントまで網羅的にご紹介します。
●この記事の目次
SharePoint は Microsoft 365 に組み込まれたクラウド型ポータル&ドキュメント管理基盤で、部署横断の情報共有やワークフローをブラウザーだけで一元化できます。セキュリティ制御と自動アップデートをマイクロソフトが担うため社内サーバー運用が不要になり、保守コストを大幅に削減できます。
国内外の中堅・大企業がDXの基盤として採用を拡大している実績が、その有用性を裏付けています。
ここでは実際に SharePoint を導入した企業から評価の高いメリット 6 点を絞って解説します。いずれも「sharepoint メリット」を検索する多くの方が重視するポイントです。
ぜひ、自社の課題と照らし合わせながらご覧ください。
従来のオンプレミス型ポータルサイトは、サーバー調達やCMSライセンス、構築ベンダーへの発注など初期費用が高額になりがちでした。SharePoint は Microsoft 365 サブスクリプションに含まれているため、追加ライセンスを購入せずに社内ポータルを構築できます。
ドラッグ&ドロップ中心のモダン UI でレイアウトを変更できるうえ、テンプレートも豊富なので開発ベンダーに依頼しなくても自部門で運用開始が可能です。
加えて Azure 基盤でホスティングされるため、ハードウェア更新コストやデータセンター費用は不要。これにより TCO(総保有コスト)を 30 〜 50 % 削減できた事例も多く報告されています。また社内ポータルをクラウド化することで、データセンターの老朽化や災害時の BCP 対策も同時に実現できます。
オンプレミスでは避けられなかったハード障害対応やバックアップ機器更新作業が不要になり、情報システム部門はより付加価値の高い業務にリソースを集中できます。
SharePoint はクラウドサービスであるため、インターネット接続とブラウザーさえあればどこからでもアクセス可能です。リモートワークや海外拠点との協働でも VPN 接続が不要になり、出張先や自宅から社内資料を閲覧・更新できます。
さらにモバイルアプリを使えば、スマホで資料をプレビューしたりコメントしたりといった軽作業もスムーズ。
こうした柔軟な働き方は業務効率を高めるだけでなく、ワークライフバランス向上や人材確保にも寄与します。出社・在宅を選択できるハイブリッドワークが定着する中、すべての業務情報をクラウドに集約することで、フロア間のファイルサーバー移動や USB メモリ受け渡しといった古い運用を撤廃できます。
モバイルアクセスが解禁されることで、営業現場で見積書を即座に確認したり、工事現場で最新図面を確認するといった活用も進みます。
さらに、オフラインキャッシュ機能により地下鉄移動や通信環境が不安定な工場内でも、一時的にローカル保存しておいたファイルを編集し、通信回復後に自動同期できます。この機能により現場でのフィードバックを即座に反映し、企画から製造、販売までのリードタイムを短縮できます。
SharePoint のモダンサイトはコードを書かずにパーツ(Web パーツ)を追加するだけでデザインを変更できます。社内ニュース、FAQ、組織図、ダッシュボードなどをドラッグ操作で配置でき、Power Automate を組み合わせることで投稿承認ワークフローも簡単に実装可能です。さらに業務システム連携が必要な場合は、Power Apps で入力フォームや一覧画面をローコード開発し、SharePoint リストをデータベースとして活用することもできます。
この拡張性により、部門独自の要件にも柔軟に対応できるのが大きな魅力です。
SPFx(SharePoint Framework)を使えば React や TypeScript で完全な SPA を開発し、従来専門 SIer に外製していた要件も内製化が進められます。これにより「業務をシステムに合わせる」のではなく「システムを業務にフィットさせる」アジャイルな改善サイクルを実現できます。
Microsoft Teams、Outlook、OneDrive など既存の Microsoft 365 サービスとネイティブ連携している点も大きな sharepoint メリットです。
たとえば Teams のチャネルに SharePointラ イブラリをタブ表示すれば、チームメンバーが Teams 画面から直接ドキュメント編集や共有リンク発行を行えます。また Outlook の添付ファイルをワンクリックで SharePoint に保存し、共有リンクへ自動変換するしくみを導入すれば、容量超過やバージョン不整合のリスクを軽減できます。
もちろん Microsoft Graph API 経由で Planner や Dynamics 365 ともシームレスに統合できるため、CRM 情報とドキュメントをひも付けた高度な業務基盤も構築可能です。既に Microsoft 365 を採用している企業にとっては追加学習コストが低く、ユーザーの受入れがスムーズなのもメリットといえます。共有リンクにはユーザーごとのアクセス権を自動付与し、期限切れ時には自動的にリンクが無効化される仕組みを取り入れることで、セキュリティと利便性を両立できます。
こうしたエンドユーザーの負担を減らす“小さな自動化”が、全社規模での DX 推進を加速させます。
SharePoint には、セキュリティ面で安心できる機能がたくさん備わっています。たとえば、社外の人とファイルを共有するときに「このリンクは〇日間だけ有効」「ダウンロードはできないようにする」といった細かい設定が可能です。これにより、メールで間違ってファイルを送ってしまったり、他の人に転送されてしまうといった情報漏れのリスクを防げます。
また、重要な資料を自動で見つけて保護したり、会社のルールに合わせて「このファイルは○年間保存してから削除」といった管理もできます。これにより、法律や社内ルールにきちんと対応できるため、金融や医療など、情報管理が厳しい業界でも安心して使われています。
さらに、過去のファイルも一定期間保存しておく設定ができるため、「誰がどんな作業をしたか」という履歴も残せて、会社の中のチェックや監査にもしっかり対応できます。難しい設定は必要なく、使う人は直感的に操作できるようになっているのも大きな魅力です。
SharePoint ライブラリではファイルを上書き保存すると自動でバージョンが履歴として残ります。過去バージョンとの差分確認やロールバックが UI から簡単に行えるため、誤編集のリスクを最小化できます。Word や Excel を共同編集している最中でもリアルタイムに変更履歴が可視化されるため、担当者同士の「最新版はどれ?」という混乱が起きません。
さらにファイル格納後に承認フローを紐づけることで「草稿→レビュー→公開」のプロセスを自動管理でき、手戻りを最小化した品質保証体制を整えられます。バージョンの上限数や保持期間を設定してストレージ効率を高めつつ、重要版は手動で固定(メジャーバージョン)するといった運用も柔軟に行えます。定期的なバージョンレビュー会を設けることで、ドキュメント品質を継続的に改善し、ナレッジ資産化を促進できます。
どんな優れたツールでも、運用方法や組織文化との相性次第では思わぬ落とし穴があります。
SharePoint も例外ではなく、匿名コメントの扱いに起因する心理的ハードルやモダン UI のデザイン制約、アクセス分析の深度不足など、導入前に把握すべき懸念点が潜んでいます。ここでは導入後に後悔しないため押さえておきたい 4 つのデメリットと実務的な回避策の方向性、さらにクラウド障害時の事業継続計画の検討ポイントも概観します。
SharePoint ではユーザーアカウントが必須のため、投稿やコメントは全て実名表示されます。これにより責任所在が明確になる一方、忌憚ないフィードバックを集めにくいケースがあります。社内 SNS 的に活用したい部門は、Teams の匿名アンケート機能などと併用すると運用負荷を抑えられます。
一方で、規制業界では実名制であることが監査証跡強化というプラスに働く場合もあり、匿名フィードバックをどこまで許容するかは用途に応じて判断が必要です。
モダン UI はレスポンシブ対応で使いやすい反面、カラム数やフォント、余白など詳細デザインをピクセル単位で調整することは困難です。コーポレートサイトのようにブランドガイドラインが厳格な用途で採用する場合は、SPFx(SharePoint Framework)によるカスタム開発が必要になる可能性があります。
ただしブランドデザインとの差を許容しやすいイントラネット用途であれば、標準のモダンテーマだけでも十分にモバイル対応した見栄えを実現できます。
サイト分析レポートでは PV やユニークユーザー、人気ページ程度しか確認できません。高度なページ遷移分析や属性別のセグメント分析を行いたい場合は、Power BI や Google Analytics と連携させる必要があります。アクセスログをさらに深掘りしたい場合は、Unified Audit Log をエクスポートして Kusto Query Language で可視化するなど、外部ツールで拡張するアプローチが一般的です。
実運用では「検索は十分だが分析が弱い」という声が多いため、KPI ダッシュボードを Power BI で構築し、SharePoint ホームに埋め込むパターンが増えています。
クラウドサービスである以上、Microsoft のデータセンターで障害や大規模ネットワーク障害が起きた際には一時的にアクセスできなくなるリスクがあります。とはいえ SLA は 99.9 % 以上であり、オンプレミスサーバーを自社で運用するよりも高い可用性を確保できます。また重大インシデント時にはサービス正常性ダッシュボードで状況が通知されるため、影響範囲を早期に把握可能です。
障害が発生した場合でもオフラインキャッシュやローカルコピーに切り替える運用ルールを決めておくことで、業務停止リスクを最小化できます。
SharePoint にはポータル構築やリスト管理だけでなく、ワークフロー自動化、全文検索、同時編集など多彩な機能が備わっています。これらを適切に組み合わせることで、従来分散していたファイルサーバー、紙の申請書、社内 Wiki を一つのクラウドにまとめることができます。
Power Platform 連携による拡張イメージと併せて、ユーザーが日常的に活用する代表的な機能と実務での使い方を分かりやすく紹介します。
部署やプロジェクト単位でグループサイトを作成し、権限をロールベースで管理できます。メンバーを追加すれば自動的に Teams チャットと Outlook グループも生成され、情報基盤を一気通貫で構築できます。ガバナンスセンターで命名規則やライフサイクルポリシーを設定することで、不要なサイトの乱立を防ぎつつ自己申請型のグループ作成を許容できます。
ライフサイクル設定で既定期間アクセスがないサイトを自動アーカイブする運用を組み込めば、サイトスプロールを抑止できます。
申請書の承認フローを Power Automate テンプレートから数クリックで作成。担当者変更も GUI で設定でき、属人的なメール承認文化を撲滅できます。
例えば経費精算フローでは、金額条件で承認ルートを自動分岐させ、モバイルアプリでワンタップ承認できるため、決裁スピードが平均 30 % 向上します。
トップページにニュース、リンク集、ダッシュボードを配置し、従業員が必要な情報をワンストップで取得できるハブサイトを構築可能です。ニュース Web パーツと Viva Engage フィードを組み合わせるとトップページで双方向コミュニケーションを促進できます。
Word や Excel を複数人でリアルタイム編集でき、変更箇所が共同編集者に色分け表示されるため、資料作成のリードタイムを大幅に短縮します。過去のバージョンを比較する際も、差分ハイライト表示で誰がどの部分を変更したかが一目でわかるため、レビュー効率が飛躍的に向上します。さらに「メンション」機能で関係者に直接通知が届くため、レビュー依頼をメールで送る手間が不要になります。
共同編集履歴は監査ログにも保存されるので、品質保証やコンプライアンス監査に活用できる点も企業から高評価を得ています。
メタデータやファイル内容まで横断検索でき、ヒット結果をプレビュー付きで表示。検索条件を保存してレポート作成にも活用できます。さらに Microsoft Cognitive Search と連携すると、OCR による画像内テキスト検索や自然言語による質問応答も実装できます。
カスタムリストを作成し、タスク管理や問い合わせ管理など簡易 DB として利用可能。ビュー切り替えでガントチャートやカレンダー表示も行えます。Power Automate で変更通知を Teams に配信することで、リスト更新を見逃さず全員に素早く共有できます。
Power Apps からの直接編集も可能で、入力検証やロジックを追加することで簡易 SaaS のように活用する企業も増えています。
Forms との連携で社内アンケートを発行し、結果を SharePoint リストに自動集計。Power BI で集計結果を視覚化できます。集計結果をリアルタイムでカード表示し、部門ポータルに埋め込むことで、組織の温度感を可視化しやすくなります。
チーム共有カレンダーをサイトに埋め込み、会議室予約やイベント管理を一元化します。また、Outlook と双方向同期されるため、二重管理を防止し、視覚的なスケジュール管理により、設備予約のダブルブッキングを防止し、生産性を高めます。
主要ドキュメントのプレリリース版や最終版を列で管理し、ワークフローでレビュー担当者を自動アサイン。コンテンツライフサイクルを確実にコントロールできます。保持ポリシーを活用してドラフト版は30日で自動削除するなど、ストレージコストを最適化できます。
本章では数多くの支援実績から見えた成功パターンを踏まえ、押さえるべき 3 つのポイントを具体的な施策例とともに解説します。
サイト作成手順やファイル命名規則、承認フローの申請手順などをガイドライン化し、従業員が迷わず利用できる環境を整えましょう。チュートリアル動画をTeamsに埋め込むと習熟度が高まり、社内問い合わせ対応コストを削減できます。また、全社ロールアウトの前にパイロット部門で検証することで、FAQ やベストプラクティスを抽出し、本格展開時の混乱を防げます。
フォルダー階層の深さやメタデータ項目、公開範囲の設定基準を合意形成することが重要です。ルールが曖昧だとファイルが散在し、検索性が低下してせっかくの Sharepoint メリットを享受できません。運用ルールは Kickoff 時にワークショップ形式で合意形成し、ドキュメントとして残すことで形骸化を防げます。
基幹システム連携や独自アプリのニーズがある場合は、Power Platform や API 連携を前提に設計しましょう。外部ツールとのデータ連携を早期に検討することで、二重入力や手作業を最小化できます。
例えば基幹システムから製品マスターを同期し、Power Apps で検索・引用できるようにすれば、データの一貫性を維持しながら業務スピードを向上させられます。
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