毎月決まったタイミングで何かを思い出さなければならない業務、皆さんの職場にもありませんか?
例えば「毎月第 1 木曜日は段ボール回収の日」「第3水曜日に会議資料を提出」など、頻度は高くないけれど忘れると地味に困るタスク。そんな“うっかり忘れ”を防ぐのに便利なのが、Power Automate と Teams を使った定期通知の自動化です。
本記事では、「毎月第1木曜日」に Teams にリマインド通知を送る方法を実際のユースケースに沿ってご紹介します。設定手順だけでなく、「特定の曜日+週」で通知を送る条件の作り方や、他パターンへの応用方法も解説するので、ぜひご活用ください。
業務の中には、「毎週」「毎月」などの周期で発生するタスクが数多くあります。
しかし、こうしたタスクは日常の業務に埋もれやすく、「気づいたら期限を過ぎていた」という事態も起こりがちです。特に、月に一度の業務はルーティンとして定着しにくく、意識していないと忘れやすいという特性があります。
リマインド通知を自動化することで、担当者の心理的負担を軽減し、抜け漏れを確実に防止することができます。
Power Automate で通知を送る際、Teams を活用することで通知の即時性と見逃しにくさが大きく向上します。たとえば Outlook でのメール通知だと他のメールに埋もれやすいですが、Teams のチャット通知ならモバイルでも即座に気づけるため、アクションにつながりやすくなります。また、チーム全体への通知や、特定の担当者宛のメッセージ送信も柔軟に設定可能です。
「見た人が誰かわからない」ではなく、「確実に届ける」ことができるのも、Teams 連携の大きな強みです。
今回ご紹介するのは、「毎月第 1 木曜日は段ボール回収日」というちょっとした社内ルールを、Power Automate と Teams を使ってリマインドする仕組みです。
このように、
● 頻度は高くない
● 忘れても誰かがやる…かもしれない
● けれど、地味に重要
そんな業務こそ、リマインド通知を自動化しておくと安心です。
Power Automate を使えば、「特定の曜日・週」にだけメッセージを送るような設定もできるので、つい忘れてしまいがちなタイミングでも、確実にチーム内で共有できます。
今回の通知は、こんなイメージです。
● いつ:毎月第 1 木曜日の朝(例:午前9時ごろ)
● どこに:Microsoft Teams のチャットやチームチャネル
● 何を:テキストメッセージ
シンプルな通知ですが、こういった小さな自動化の積み重ねが、「伝え忘れ」や「確認の手間」の削減につながります。
まずはフローが実行されるタイミングを設定します。
今回は「毎月第 1 木曜日」に通知を送りたいので、毎週木曜日の朝 9 時にフローを動かすようにします。なぜ毎月ではなく「毎週」なのかというと、その週が第 1 週かどうかは条件で判定するからです。
設定内容の例は以下の通りです。
● 頻度:週
● 曜日:木曜日
● 時間:9:00(日本時間)
これにより、毎週木曜日にフローが実行され、該当する週だけ通知が送られる仕組みになります。
次に、「今日が第 1 木曜日かどうか?」を判断するロジックを加えます。
ポイントは以下の 2 つです。
① 今日が木曜日である(トリガーで制御済みですが、今回は条件に入れています)
② 今日の日付が「1 日~7 日の間」にある
つまり、「木曜日かつ月初の週であること」を条件にすれば、「第1木曜日」だけを判定できます。
例:2025 年 8 月の第 1 木曜日は「8 月 7 日」なので、日付が 7 以下の木曜が対象になります。
この条件が成立した場合にのみ、次の通知アクションへと進みます。
①② をそれぞれ変数に格納します。値は以下の通りです。 (変数名は各自で決定してください)
① dayOfWeek(addHours(utcNow(),9))
② dayOfMonth(addHours(utcNow(),9))
各変数の条件は図のようにします。
判定条件が一致した場合に、Teams へ通知を送るアクションを追加します。
通知の内容は自由に設定できますが、今回はこんな感じです。
● 今日は第 1 木曜日ばい。
● 段ボールは外に出しんしゃい。
投稿の形式は以下から選べます。
・チャット形式で個人に直接送信
・チームのチャネルに投稿して全体周知
投稿者名は「Flow bot」など任意で設定可能です。
今回は事前に指定した宛先へ、自動で1人ずつ送るように設計しています。
本番運用前にテストしたい場合は、次のような工夫をすると良いでしょう。
・実行日を一時的に固定し、意図した条件に合う日付でテストする
・条件を一時的に「常に通知する」に切り替えて動作確認だけ行う
・通知の文面に日付や条件判定結果を含めて動作ログを見える化する
今回のフローでは「第1木曜日」を対象としましたが、第2火曜日や第3金曜日など、他のパターンにも応用できます。
基本の考え方は以下の通りです。
● フローのトリガーは「毎週該当の曜日」に設定する
● 実行された日の「日付」が何日かを取得する
● その日付が「1~7:第 1 週」「8~14:第 2 週」などに当てはまるかを条件で判定する
例えば「第3火曜日」に通知を出したい場合は以下のようになります。
・毎週火曜日にフローを実行
・実行日の dayOfMonth が 15~21 の範囲であれば通知を送信
ポイント:「曜日」そのものはトリガーで制御する。「第◯週」は日付(day)を条件で判定する。
「最終金曜日」「毎月末の営業日」など、少し複雑なタイミングにも Power Automate は対応可能です。
たとえば「最終金曜日」を判定するには以下のロジックが使えます。
● 毎週金曜日に実行
● 今週の金曜日の 7 日後が翌月に入っているかどうかで「今月最後の金曜か?」を判定
「今日から 7 日後が翌月なら=今週が今月最後の週」と判断する方法であり、式で書くと次のようになります。
formatDateTime(addDays(utcNow(), 7), 'MM') ≠ formatDateTime(utcNow(), 'MM')
少し高度な Power Fx の式が必要になりますが、慣れると柔軟にスケジュールが組めるようになります。
このように、Power Automate ではほぼすべての定期スケジュール通知に対応可能です。
リマインドや周知の自動化を進めたい場合には、今回の考え方をベースにアレンジしてみてください。
「毎月第 1 木曜日」などの定期的なタスクは、つい忘れがちです。
Power Automate を使えば、特定の曜日や週を判定して、必要なときだけ Teams に通知を送る仕組みを簡単に作れます。
今回は段ボール回収日を例に紹介しましたが、この考え方は他の場面にも応用できます。
● 会議資料の提出リマインド
● 月末処理や点検日のお知らせ
● 契約更新の通知 など
こうした小さな自動化が、業務の抜け漏れ防止やコミュニケーションの効率化につながります。
まずは、あなたの業務で「毎回言ってるな」「忘れやすいな」と思うことから始めてみてください。
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