SharePoint を導入・運用する際に「チーム サイトとコミュニケーション サイト、どちらを使えばいいのか?」と迷う担当者は少なくありません。2 つのサイトは混同されやすいですが、実際には目的も設計思想も大きく異なります。
本記事では、2 つのサイトの違いと使い分けの基準を整理したうえで、SharePoint サイト設計で失敗しがちなポイントや、どんな企業に向いているかまで詳しく解説します。自社の SharePoint 構成を考えるうえで、ぜひ参考にしてください。
SharePoint で新しいサイトを作成するとき、最初に選ぶのが「チーム サイト」か「コミュニケーション サイト」かという選択です。基本的な機能は共通している部分もありますが、明確な違いがいくつかあります。まずは主要な違いを 3 つの観点から整理しましょう。
チーム サイトは、特定のメンバー間での情報共有・共同作業を目的として設計されています。ドキュメントの共同編集、タスク管理、共有カレンダーなどの機能が揃っており、営業チームや制作チームのような「特定の人たちが一緒に仕事をする場」として活用されます。
一方、コミュニケーション サイトは組織内の幅広いユーザーに向けて情報を発信するためのプラットフォームです。社内ニュースやイベント告知、社内規程集といった「広く周知したいコンテンツ」を掲載するのに適しており、グループウェアの掲示板に近い役割を担います。用途の違いが明確なため、両方を組み合わせて運用するケースも一般的です。
チーム サイトは、メンバー全員が編集・投稿に参加することを前提とした構造になっています。チーム メンバー全員が資料を更新したりコメントを残したりするため、編集権限を持つユーザーが多くなりがちです。
コミュニケーション サイトは、編集者を限定し、それ以外の社員は閲覧のみという運用が一般的です。たとえば、人事部や広報部だけが情報を発信し、全社員は読むだけ、という運用にすることで、情報の正確性を担保しつつ、幅広い人に届けるうえで理にかなった設計といえます。
権限管理の仕組みも異なり、チーム サイトでは Microsoft 365 グループと SharePoint グループの両方で権限が管理されます。コミュニケーション サイトは SharePoint グループのみで管理されるため、細かい権限設定が必要な情報発信サイトに向いているでしょう。
チーム サイトを作成すると、裏側で Microsoft 365 グループが自動的に生成されます。このグループは Teams・Outlook・Planner など複数の Microsoft サービスと連動しており、チーム サイトを起点にメールやタスク管理、チャットまで一元的に管理できるようになります。
コミュニケーション サイトにはこのような Microsoft 365 グループの自動生成がなく、他のアプリとの連携もチームサイトほど緊密ではありません。Microsoft 365 のサービス群をまとめて活用したい場合は、チームサイトが大きく有利になります。
Teams でチームを作成した際に SharePoint チーム サイトが自動で連携される仕組みも、この Microsoft 365 グループを介した連動によるものです。チームと SharePoint が自動的につながるため、別途サイトを準備する手間がかかりません。
チーム サイトは、SharePoint で作成できるサイトの一種で、特定のメンバー間での情報共有・共同作業を目的としています。部署やプロジェクト単位で使われることが多く、Microsoft 365 の他サービスとの連携が強いのが特徴です。
チームサイトについてより詳しくは、こちらの解説記事もご参照ください。
【関連ブログ】
SharePoint のチーム サイトの作り方を解説!コミュニケーション サイトやサブ サイトの作成方法も詳しく紹介!
チーム サイトは、営業部・制作部・総務部といった部署単位、あるいはプロジェクト単位での活用が典型的な使い方です。ドキュメントライブラリでファイルを一元管理し、提案書・議事録・見積書をメンバー全員で共有・編集できます。
タスク管理機能を使えば、担当者・期日・進捗状況を可視化でき、抜け漏れを防ぐことにもつながります。共有カレンダーにより、チーム メンバーのスケジュールを一か所で把握できるため、会議や出張の調整もスムーズになるでしょう。
また、お知らせや掲示板機能でチーム内の連絡事項を掲載でき、メールに頼りすぎることなく情報共有ができます。チームの規模や業務内容に合わせて柔軟にカスタマイズできる点も、現場で重宝される理由のひとつです。
Microsoft Teams でチームを新規作成すると、SharePoint のチーム サイトが自動的に生成され、ファイル保存先として連携されます。Teams のチャネルの「ファイル」タブを開くと、実際にはその SharePoint チーム サイトのドキュメントライブラリが表示されている仕組みです。
この自動連携により、Teams で会議をしながら SharePoint のファイルをリアルタイムで共同編集するといった使い方が自然にできます。Teams を日常的に使っている組織であれば、追加設定なしに SharePoint の恩恵を受けられる点は大きなメリットです。
さらに、Planner や Outlook とも Microsoft 365 グループを介して連携しているため、タスク管理や予定の共有まで同一の権限グループで管理できます。複数ツールを横断した業務フローを組みたい企業にとって、チームサイトは運用の中心的な役割を担うものとなるでしょう。
コミュニケーション サイトは、部門やプロジェクトの枠を超えて、組織内の幅広いユーザーに情報を発信するための SharePoint サイトです。社内ポータルとしての機能に優れており、デザインの自由度も高いことから、企業の「顔」となるサイト構築に向いているといえます。
コミュニケーション サイトが特に向いている用途は、社内ニュースの配信・社内規程集の掲載・全社周知のお知らせ掲示板といったコンテンツの発信です。上部にナビゲーションメニューを置き、その下にコンテンツを配置するレイアウトが標準で採用されており、閲覧者が情報にアクセスしやすい UI 設計になっています。
ニュース機能で最新情報を目立つ位置に配置したり、イベント機能でセミナー・研修の予定を共有したりするなど、「発信」に特化した機能が揃っています。就業規則や人事評価規程など、セキュリティを確保したうえで全社員に共有すべき文書の掲載にも適しているでしょう。
また、コミュニケーション サイトはホーム サイトとして設定できる唯一のサイト種別です。ホーム サイトに設定すると、全社的な情報発信の起点となるとともに、サイト内のコンテンツが検索結果で優先的に表示されるようになります。
コミュニケーション サイトは、「編集できる人を限定し、多くのユーザーは読むだけ」という運用スタイルに適しています。たとえば、人事部や広報部の担当者だけが投稿・編集権限を持ち、全社員はサイトを閲覧するのみというケースが典型的です。
SharePoint グループのみで権限を管理する構造のため、細かいアクセス制御がしやすく、発信する情報の質を担保しやすい点も特徴です。誰でも書き込めてしまうと情報が乱立するリスクがありますが、コミュニケーション サイトでは発信者を絞り込むことで情報の信頼性を保てます。
また、ページの全幅セクションで使用できる Web パーツがチーム サイトより多く(チーム サイト:1 種類 / コミュニケーション サイト:4 種類)、フッターの設定も可能です。視覚的に整ったポータルサイトを作りたい場合に、コミュニケーション サイトが選ばれやすい理由のひとつになっています。
チーム サイトとコミュニケーション サイト、それぞれの特性を把握できたところで、次は具体的な使い分けの判断基準を整理します。「どちらを使うべきか」は、誰がどのような目的でサイトを使うかによって変わります。
日々の業務でファイルを共有したり、プロジェクトの進行を管理したりする用途にはチーム サイトが向いているでしょう。たとえば「営業案件ごとの提案書管理」「制作進行のタスクと資料を一括管理」「部署共有フォルダとして日々更新が発生するファイルを集約」といった運用がその典型です。
Teams と連動させることで、会議中にファイルを開いて議論し、そのまま更新内容を保存するという流れが自然にできます。業務の中でリアルタイムに情報をやりとりしながら作業する場面には、チーム サイトが最も力を発揮します。
また、チーム サイトはメンバー追加や権限変更も Microsoft 365 グループを通じて行えるため、プロジェクト体制が変わった際の管理がシンプルです。人の入れ替わりが多いプロジェクトチームでも、運用負荷を抑えながら管理できます。
全社員に向けた情報発信にはコミュニケーション サイトを活用しましょう。社内掲示板・経営メッセージの配信・人事通知(異動・採用情報など)・社内イベントの告知といったコンテンツは、コミュニケーション サイトとの相性が良い用途です。
全社員が見るべき情報を届けるためには、編集者を限定し、情報の鮮度と正確性を維持しましょう。コミュニケーション サイトの権限構造はその要件に合致しており、情報発信の責任者を明確にしながら運用できます。
社内情報の整理について、詳しくは以下の記事も参考にしてください。
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SharePoint 社内ポータルの作り方を徹底解説!機能・設計・活用事例
実際の企業では、チーム サイトとコミュニケーション サイトを組み合わせて運用するケースが一般的です。「コミュニケーション サイトを全社ポータルとして設置し、各部署・各プロジェクトのチーム サイトに誘導する」という構成が代表的なパターンです。
コミュニケーション サイトのトップページから、各チーム サイトへのリンクを整理して配置すれば、社員は一か所から必要な情報へとたどり着けます。全社的な情報発信と個別チームの作業場を明確に分けることで、情報が散在するリスクを抑えられます。サイト構成を設計する段階から「どのコンテンツをどちらのサイトに置くか」を決めておくことが、運用を長く続ける上で必要です。
SharePoint サイトの導入・運用については、下記の記事を合わせて参考にしてください。
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SharePoint の導入方法は?手順・準備・失敗しない進め方を徹底解説
SharePoint は柔軟性が高いツールですが、その柔軟性ゆえに設計や運用ルールが甘いと思わぬ問題が起きやすくなります。導入後に「こんなはずじゃなかった」とならないよう、よくある失敗パターンを事前に把握しておきましょう。
SharePoint はサイトを比較的簡単に作成できるため、案件ごと・プロジェクトごとにサイトを新規作成していくうちにサイト増やしすぎてしまうケースがあります。「どこに何があるか分からない」「昔作ったサイトが放置されている」という状態では、情報共有のツールが逆に情報を分散させる原因になるでしょう。
特にチーム サイトは、Teams でチームを作るたびに自動生成されるため、管理者が把握していないうちにサイト数が増えていることがあります。一定期間利用されなかったサイトのアーカイブ方針や、サイト作成の申請フロー設定などをあらかじめ決めておきましょう。
サイト数が増えると検索精度も下がり、ユーザーが必要なコンテンツにたどり着けなくなります。「サイト数の上限」や「サイト作成の基準」を明文化したガバナンスルールを整備することが、長期的な運用を安定させるカギです。
SharePoint は権限設定の粒度が細かく、サイト・ライブラリ・フォルダ・ファイル単位で個別に権限を設定できます。便利な一方で、担当者が個別に権限を付与し続けた結果、誰がどのリソースにアクセスできるか管理しきれない状態になりかねません。
特にチーム サイトでは、Microsoft 365 グループと SharePoint グループの両方で権限が管理されるため、設定が重複したり矛盾したりするリスクがあります。個別権限の付与は最小限にとどめ、グループ単位で管理するというルールを徹底することが対策の基本です。
権限設計のドキュメントを最初に作成し、定期的に棚卸しする運用を取り入れることで、管理の属人化を防げます。担当者が交代しても引き継ぎやすい状態を維持することが、長期運用における安定性につながるのです。
SharePoint に限らず、ファイル共有ツールが機能しなくなる原因のひとつが保存場所のルールが統一されていない問題です。人によってフォルダの使い方が違い、同じファイルが複数個所に保存されていたり、どれが最新版か分からなくなったりするケースはよく見られます。命名規則・フォルダ構成・バージョン管理のルールを SharePoint 導入時に決めましょう。
また、SharePoint の情報共有の仕組みを現場が理解していないと、結局メールやチャットで資料をやりとりするという旧来のやり方に戻ってしまいます。導入時のトレーニングや操作マニュアルの整備も、運用定着のために欠かせない取り組みです。
SharePoint は Microsoft 365 に含まれるツールであり、すでに同サービスを利用している企業にとっては追加コストなしで活用できる情報共有基盤です。どのような組織で特に効果を発揮しやすいかを整理します。
SharePoint は Microsoft 365 のエコシステムに深く統合されているため、Word・Excel・PowerPoint など のOffice アプリをすでに業務で使っている企業であれば、導入ハードルが低く、学習コストも抑えやすい傾向があります。既存ツールとの連携もスムーズなため、新たなシステム導入を最小化しながら情報共有の基盤を整備できます。
Microsoft 365 のプランによっては SharePoint の機能範囲が異なりますが、多くのビジネスプランに SharePoint が含まれているため、導入済みの企業はすぐに利用を開始できます。
「情報がメールに散在している」「社内 wiki があるが更新されていない」「どこに何があるか誰も把握していない」という課題を抱える組織には、SharePoint による情報基盤の整備が効果的です。コミュニケーション サイトで全社的な情報発信の窓口を一本化し、チーム サイトで各部署の業務情報を体系的に管理する構成が有効です。
情報の「出どころ」と「保存場所」を明確にするだけで、社員が情報を探す時間が大幅に削減されます。特に組織規模が大きくなるほど、情報共有の基盤整備による恩恵は大きくなるでしょう。
すでに Microsoft Teams をチャットや会議のツールとして活用している企業には、SharePoint との連携がとりわけ大きな効果をもたらします。Teams でチームを作成すると自動的に SharePoint チームサイトが生成されるため、チャットで議論した内容に関連するファイルをそのまま SharePoint に蓄積・管理できます。
Teams の会議ではリアルタイムのコミュニケーション、SharePoint ではファイルや情報の蓄積と管理という役割を明確に分担することで、情報が一か所に集まりやすくなるでしょう。こうした連携運用によって、メール添付によるファイルの行き来が減り、常に最新版のファイルをチームで共有できる環境が整います。
SharePoint のチーム サイトとコミュニケーション サイトに関して、よくいただく質問をまとめました。導入・運用の検討段階で参考にしてください。
はい、Teams と SharePoint のチーム サイトは強く連携しています。Teams でチームを作成すると、裏側では SharePoint のチーム サイトも自動生成され、ファイル保存先として利用されます。Teams のファイルタブは SharePoint のドキュメントライブラリと直結しており、Teams で共有したファイルは SharePoint に蓄積される仕組みです。
ただし、Teams でチームを作るたびに SharePoint サイトが生成されるため、チームの乱立には注意が必要です。利用目的が不明なチームやサイトが増えすぎないよう、作成ルールを事前に設けておくと管理がしやすくなります。
コミュニケーション サイトは、社内ポータル・お知らせ・社内ニュースなど「情報発信」用途に向いています。共同編集よりも、全社員へ情報共有する運用との相性が良いサイトです。
具体的には、人事部からの通知・経営メッセージの発信・社内イベント告知・規程集の公開といったコンテンツが典型的な活用例です。特定の担当者が情報を発信し、多くの社員が閲覧するという流れに最適化された設計になっています。
また、SharePoint のホーム サイト(全社ポータル)はコミュニケーション サイトのみ設定可能であるため、会社全体の情報発信の起点として位置づけたい場合には必然的にこちらを選ぶことになります。
Teams はチャット・会議・リアルタイムコミュニケーション向け、SharePoint はファイル管理・情報蓄積向けとして使い分けるケースが多いです。実際には、Teams のファイル共有基盤として SharePoint が連携しています。
「話す・相談する」は Teams、「保存する・整理する・発信する」は SharePoint という役割分担を意識すると、両ツールの使いどころが明確になります。どちらも単独で使うより、連携させることで真価を発揮するツールだといえます。
サイト名・権限・デザインなどは後から変更可能です。ただし、サイト構成や権限設計を後から大きく変更すると運用が複雑になりやすいため、初期設計が大切です。
特に権限設定は、後から変更しようとすると既存ユーザーへの影響範囲が広がりやすく、「意図せずアクセスできなくなった」といったトラブルが起きてしまいかねません。最初の段階で適切な権限設定を行いましょう。
チーム サイトとコミュニケーション サイトの種類自体は後から変更できないため、どちらを使うかという選択だけは最初に決める必要があります。迷った場合は運用目的を明確にし、「共同作業か、情報発信か」という観点で判断してください。
Microsoft 365 を利用している中小企業であれば導入しやすいツールです。小規模な組織であれば、チーム サイト数は少なく抑え、コミュニケーション サイト 1 つと部署ごとのチーム サイトという構成から始めるのが扱いやすいパターンです。規模が小さいうちに設計の原則を固めておくと、組織が拡大しても運用が破綻しにくくなります。
SharePoint の専門知識がない場合は、構築・設計の段階から外部の支援サービスを活用することも選択肢のひとつです。初期設計をプロに依頼することで、後から発生しやすい問題を未然に防ぐことができます。
チーム サイトは特定メンバー間での共同作業・案件管理に、コミュニケーション サイトは全社への情報発信・社内ポータルに向いています。Teams など Microsoft 365 サービスとの連携を重視するならチーム サイト、発信者を限定した閲覧中心の運用ならコミュニケーション サイトを選ぶのが基本です。2 つのサイトを組み合わせた構成も含め、自社の目的に合った設計を初期段階で丁寧に考えましょう。
SGプラスは、Microsoft 365 に特化したトータルサポートを提供する専門会社です。SharePoint を活用した社内ポータルサイトの構築支援をはじめ、「情報の周知」と「情報の探しやすさ」の両方を実現するサイト設計に豊富な実績を持っています。
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